アスリートにとって適切な栄養補給は
パフォーマンスを最大限に発揮するために重要です。
特に、ハードなトレーニングにおける競技の
前、最中、後の適切な炭水化物の必要性は明らかとなっています。
どれくらいの炭水化物が必要なの?
一般的に運動をしていない人では、
通常の食事で必要な炭水化物量を満たすことができるとされます。
しかし、アスリートのように日々トレーニングをしている場合は
一般の人以上に炭水化物を必要とします。
ではどれくらいの炭水化物量が必要なのでしょうか?
国際スポーツ栄養学会(ISSN)のガイドラインを見てみましょう。
アスリートにおける炭水化物摂取ガイドライン

その他にも試合前や試合後に
すばやいエネルギー補給を『戦略的』に行うケースも考えられます。

これらの状況では・・・
必要とされる炭水化物量の補給を優先したうえで、
糖質の種類、補給のタイミングを考えていくことが重要とされています。(※1)
糖質と炭水化物の違いって?
糖質制限という言葉がブームになった影響か、
糖質=炭水化物
というイメージをしているケースが多いと感じています・・・。
間違いではありませんが、
炭水化物には
体内に取り入れられエネルギー源となる『糖質』と、
体内の消化酵素では消化できない『食物繊維』があるのです。
糖質+食物繊維=炭水化物
と示すとわかりやすいでしょうか?
その中でも糖質は
- 単糖類
- 少糖類
- 多糖類
に分類されます。
◆単糖類
それ以上分解されない糖類で、
ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。
◆少糖類
単糖が2つ以上結びついたもので、
多糖類ほどは分子量が大きくないものです。
ショ糖(ブドウ糖+果糖)
麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)
乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)などがあります。
◆多糖類
消化性多糖類と難消化性多糖類に分かれます。
消化性多糖類にはでんぷん、グリコーゲンなどがあり、
難消化性糖類は食物繊維の仲間となります。(※2)
糖質の種類とパフォーマンス
8人の男性サイクリストに
ブドウ糖のみの飲料、ブドウ糖と果糖を混ぜた飲料
のいずれか飲ませた場合、
ブドウ糖と果糖飲料の方がブドウ糖のみの飲料に比べて、
サイクリングのタイムトライアル時間が
8%向上したという研究結果が得られています。(※3)
糖質の種類を考えながら補給することはもちろん、
適切な量の炭水化物を毎日摂取することは、
アスリートにとって最初に考えるべき
最も重要なステップと言えるでしょう。
トレーニングや試合中に「体力がもたない」「集中力が続かない」
運動後「疲労感がなかなか抜けない」
こんな悩みはありませんか?
まずは、アスリートにとって最も重要なエネルギー源となる
炭水化物の量や摂り方を見直してみましょう!
参考文献
※1 Kerksick CM,et al. ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations. J Int Soc Sports Nutr. 2018;15(1):38.
※2 厚生労働省「e-ヘルスネット 炭水化物/糖質」(2020年4月7日閲覧)
※3 Currell K, et al. Superior endurance performance with ingestion of multiple transportable carbohydrates.
Med Sci Sports Exerc. 2008;40(2):275–281